関節炎の中で、よく聞くという意味で身近なものとして「五十肩」があります。五十肩とは肩関節周囲炎のことです。男女差はなく、壮年期(25~44歳)以降である50歳代を中心に、60歳代、40歳代の人に起こる肩関節の「痛み」や「動きを制限」するような病気の総称で、原因ははっきりしていません。肩関節とその周辺組織の炎症により起こる病気で、炎症の箇所や程度によって、様々な症状を引き起こします。
何らかの原因で、上肢(肩、腕、手)を挙げるための筋肉がまとまっている部分(腱板)の腱の血流が不足することや、肩峰という骨が突出した部分で腱板の腱自体が磨耗することにより炎症が起きて、肩関節周囲炎(五十肩)になります。炎症を起こす場所は、肩峰下滑液包、腱板、上腕骨二頭筋長頭腱などが多いそうです。
また、肩関節周囲炎(五十肩)には、急性期と慢性期があります。急性期とは、何もしていない安静の状態でも痛みを感じる時期のことで、慢性期とは、炎症が治まり肩や腕を動かすときだけ痛みを伴う時期です。
急性期は、日常生活(服を着たり、髪をとかしたりなど)も辛く、特に夜間の痛みが激しくなる傾向があります。慢性期の注意点としては、炎症が収まり安心して、肩慣らしやストレッチとばかりに無理に動かそうとすると、危険です。
慢性期は、炎症が治まっていても、関節包(関節周囲を覆っている組織で骨の摩擦を滑らかにする液体を覆っているもの)や周辺組織が縮んでいる状態です。縮んでしまって痛いのに無理に肩を動かそうとすれば、腱板が磨耗したり、断裂したりすることがあります。
他にも就寝時には、肩関節の位置によって、肩の内部が圧迫されることにより痛みを伴うことがあります。痛みを感じる場合は、無理をせずに肩の位置を変えるだけでも、効果がありますので、試してみましょう。
専門医での検査は、レントゲンを撮って、肩峰、上腕骨骨頭大結節部の変形、肩甲骨と上腕骨骨頭の位置関係を診ます。初期の炎症時期であるか、慢性期に磨耗したり断裂したりしていないかを分かります。
他の検査法としては、超音波で腱板の厚さや断裂があるかないかを診る方法などがあり、特に急性の時期3ヶ月ほど治療して効果がない場合は、MRIや断裂しているかどうかが他の方法よりも、はっきり判る肩峰下滑液包造影(SAB)といった検査と治療を兼ねたような方法で検査を行うことになります。
治療方法としては、炎症が起こっている間は、「肩を動かさないように固定したり、鎮痛消炎剤や湿布」を使います。その後、炎症が治まった後の状態を診て、症状に合わせた様々な理学療法が行われます。